子供企画版 シャーロック・ホームズの冒険
Prologue 僕の冒険の始まり
初放映、1985年。今から21年前までさかのぼります。NHKでの放映をご覧になった方がいるかもしれませんね。僕は小学校3年生(8歳)、毎週楽しみにしていたドラマがありました。それが、
NHK版「シャーロック・ホームズの冒険」
シャーロック・ホームズ:ジェレミー・ブレット(露口茂)
ジョン・H・ワトスン:デビッド・バーク(長門裕之):後に変更有
でした。僕、読書歴は全然たいしたことないんですけれども、当時はベルヌの『海底二万里』やルブランのルパンものに耽溺してましてね。このテレビドラマも欠かさず観ていたんです。ただ、コナン・ドイルによる原作、『聖典(キャノン)』とも呼ばれる諸作を読んだのは高学年になってからだと思いますし、熟読した覚えも無いんですね。おそらく、『聖典』は、ルパンものに比べてレベルが高かったんだと思います。昨今の映画でたとえると、CGが売りではない、みたいなね。東欧とか邦画っぽい文学性があるんです。うん、全然わかんないな、このたとえ。
そんな僕(小3)ですが、このテレビドラマは欠かさず観ていた。
実はこれですね、このたび「完全版」がDVD化されたんです。完全版。1巻当たりほぼ2話ずつ収録されてあり、全部で24巻あります。
GRANADA COLLECTION
THE ADVENTURES OF SHERLOCK HOLMES
by Sir Arthur Conan Doyle
七萬円くらい。
大きな特徴は、NHK版と共に英国のGRANADA放送版を収録してある点にあります。NHK版は45分の尺(時間枠)に入れるため、グラナダ版(=完全版)をカットしてあるわけ。で、今回、全部観てよくわかったんですけれども、NHK版がひどいというより、グラナダ版がすごい。
もちろんNHK版も筋はわかるようにはなってますが、1話当り少なくても4,5分乃至10分程がカットされています。グラナダは50分ほどの番組ですので、カットされたシーンはかなりの分量に思えます。
カット・シーンには当然ながら「日本語吹き替え」がついてないんですね。日本語吹き替えで観ていると、NHKで放映されなかった所だけ英語+日本語字幕になる。切り詰めたような露口・ホームズは、突如として声の張ったジェレミー・ブレットになり、ずっこけ三人組の1人みたいな長門・ワトスンは、ごく一般的な英国紳士風柔らかデビット・バークになります。すっごい違和感。
だから非常に比較しやすいわけです。
グラナダ版は丁寧な造りに見え、特に登場人物の性格がきちんと描写してあるように思える。「いやぁ、ヤな男だねぇ〜ホームズって。」って思える。
カット・シーンというのは制作側の都合でしょうけれども、僕にはとっても面白かったんです。ホームズ、ワトスン、その他もろもろの新しい面が発見出来ました。30近くなって、このテレビドラマシリーズの傑作度がわかってきた気がしてきました。
と い う こ と で !
ネタバレ(筋・プロット・人物関係のほとんど・トリックetc.のバラし)無し、純粋に<ドラマの見所>をまとめておきたいと思い立った次第。もともとよく出来たドラマなので、僕なんかが書いても面白いと思います。少なくとも、僕は楽しんで書きました。
20世紀末、小3の僕が見逃した果てしない「19世紀大英帝国」へ、いざ。
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