子供企画版 シャーロック・ホームズの冒険

第11話 『入院患者』
THE RESIDENT PATIENT

〜ホームズの底〜
 
 はい始まりましたよ〜、その名も『入院患者』……? 何それ?

 

 えっと、オープニングシーンからいきなり長いカットシーンがありまして、棺桶開けたら「オレでしたぁ〜」という状況になるんですね。ヌケサクの登場です。ヤレヤレですね。本当なんですが、全然わかんないですか。大丈夫。わかりやすいネタにすぐさま移行しますから。
 
 わかりやすいネタと言えば、もちろん、<ダメ人間ホームズ>。
 今回も壊れかけの探偵っぷりがもう、見事という他ありません。

 

 丸々カットなんすけども、ワトスンと2人で床屋に来たホームズくん。肘掛けをですね、コツコツコツコツコツコツコツコツ叩いてイライライライラしてんですね。眼を閉じて。で、まだ散髪途中のワトスンに注意されるんです。(ハウスキーパーのハドスン婦人に)大掃除でたたき出されたからって、あまりにも子供じみているからやめろって。さすがに図星で恥ずかしかったのか、ホームズは「で、どうしてそう思った?」なんてごまかしつつワトスンに推理させます。喜び勇んで推理を試みるワトスン。なんだか哀しいものを感じるのは僕だけでしょうか。なぜって、その笑顔はすぐさま"親友"ホームズにたたき壊されることになるからです。

ホームズ「コツコツしていたのはね、コンサートの演奏を思い起こしていたんだよ、ワトスン。君にそう(間違った)推理させたことこそが恍惚の極みだよ」

 こんな友達イヤだ。ていうか、こんな人間がイヤだ。
 しかもこれ、嘘だし。証拠に、

ホームズ「しかし……少しは当たっている」

 そして、鼻で笑う。ヒドすぎる。。

 が、ヤッタネ! という無邪気な笑顔で振向くワトスン。哀しい……哀しすぎる。ただ、「踊らされてる感」だけは見事に表現されてます。


 さて、ホームズのダメっぷりだけだとさすがに芸が無く、かといってワトスンに注目すると今言ったみたいにかなり痛々しい解説になってしまうため、今回は特別ゲストとしてベイカー街221番地Bに住まうホームズのハウスキーパー、料理なんかも作っちゃう家政婦さん、ハドソン婦人についてご説明しときます。
 
 いきなり血迷ったこと言いますが、このおばあさん、僕、かなりタイプなんですよね。なんて言うか、自由奔放というか、言いたいことを絶妙のタイミングで言う人です。"狙って自由奔放"って人がよくいますけど、あれってイヤミだよね。つうか正直、消えろって思うね☆ いわゆる「天然」というか、そういうのがいいですよ。「平和を愛しているんだけどキャパシティが狭い」みたいな天然。キャパシティ(容量)がヘタに大きいと内に抱えてしまいそうでちょっと痛いし、平和を愛してなくてキャパが狭いと要するに悪魔っすから。
 ちなみに僕はハドソン婦人のモノマネが得意ですが、伝わらないと思います。アフレコされている声はグラナダ版とかなり似ていて好感が持てますよ。僕のモノマネですが、酒に酔ってつぶれそうになる寸前辺りで「ハドソンさん! ハドソンさん!」と呼びかけてもらえれば降臨すると思います。ホームズっぽくよろしく。

 そのハドソン婦人が今回は春の大掃除をするってんで家の主ホームズを追い出したってわけね。相変わらず強い。で、とっても奇麗になったお部屋なんですが、ホームズが資料探しの為に再びゴチャゴチャに引っ掻き回します。このシーンもコミカルで面白いんですけど、やっぱハドソンさんが激怒することを予想したホームズ&ワトスンがそそくさと退出しているとこが、ハドソンさんのなかなかの強権ぶりを暗示していていいですね。無敵の2人が勝てないジョーカーってとこでしょうか。シリーズ通して重要な役回りになってます。

 ホームズが自室で調べている資料については何も言えませんけれども、ホームズの<研究熱心さ>は次作でさらにクローズアップされていき、シリーズを通したモチーフの一つとなっているように見えます。たとえば、シガー、つまり葉巻ですけども、ホームズは「シガーとその灰に関する論文」を書いているそうで、僕はちょっと笑ってしまいましたが、才能だけではなく勉強をしていることがよくわかります。底知れないホームズの真価がわかってくる気がするんですけれども、この辺は次作で書きたいのでちょっと取っておきます。

 ところで、『入院患者THE RESIDENT PATIENT』というタイトル、これ、名付け親はホームズなんです。珍しいことなんですが、これはおそらく、冒頭、床屋で思い出していた「コンサートの演奏」と関係あるんじゃないかと思うんです。ワトスンが考えていたのは、「ブルックリンの怪事件THE Brock Street Mystery」というタイトル。対するTHE RESIDENT PATIENTは、足韻を踏んでいてかなり音楽的な響き。そう思いませんか。

えっと、できればそう思ってください。そうしないとまとまらないんですよ、今回。

今回に限って題名をひねり出したホームズ。その理由は、音楽的要素にしか見いだせないんです。

【追記】
 グラナダシリーズでは本場の「メイド」さんが頻出します。もろにメイド服ですが、なんていうか、小間使いという感じです。見せ方って大事と思いますね。巷で騒がれてるメイド喫茶に、一人でもああいう「リアルおばさんメイド」さんがいらっしゃると壊滅すると思いますね。あの市場が。

 だれか早急に送り込むべきだと思います。


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