子供企画版 シャーロック・ホームズの冒険

第15話 『プライオリ・スクール』
THE PRIORY SCHOOL

〜最強コンビ、頂点への道〜

 

 正直、ホームズをここまで揶揄する必要があるのかかなり疑問ですが。若干「ファンから刺されるかな★」とビクビクしていることを伏せながら書いています。所長です。

 さて、ホームズが個人的な用件から事件を求めてるってことはこれまでも再三再四書いてきたし、すごい自己中心的な野郎だってのももうかなりおわかりだと思うんですけども、このところのホームズは以前にも増して調子に乗っておられます。

 今回(そして次回も)は、どちらも醜聞を嫌うタイプのナイーブな事件なために依頼人は詳細を語りたがらないんですよ。依頼も事件発生から数日が過ぎてしまっています。となると、ホームズ氏はもう機嫌が悪いのね。困っている人を前にして、もう手遅れなんじゃね?みたいなことを平気でおっしゃっておられます。

 ただですね、これを単に「ヒネた性格」ということで済ませてしまうわけにはいかないと思うんです。事件解決には初期捜査が肝要で、初動の対応いかんでその後が決定してしまいかねない。つまり、初動の段階で立ち会えなかったことで、証拠等が失われてしまう可能性があって、その捜査にとっては致命的な打撃になりかねないわけです。

 ホームズは名だたる探偵ではあるけれども"アマチュア"と見られている場合もあるため、信頼を得られてないがゆえに情報が入りにくいということもあるはずです。ここでは、そういう捜査上の不都合をホームズは明確に把握している、

 

ということにしておいてあげたい。ま、それを普通じゃない不躾な感じで述べるのが「性格」でしょうね。さらに言うと、失礼なもの言いが出来るということは、ホームズの自信の裏返しなんでしょう。

 たとえば、第13ー14話というのは相当にデカいヤマなんですが、簡単に解決しちゃう力量があるし、そしてさらに大事なのは、それが世間にかなり知れ渡ってきたということです。名声が高まっているがゆえに、依頼人はホームズに責められても皮肉を言われてもぐっと堪えて依頼するんですね。僕が「調子に乗ってる」と思うのは、そういう状況にホームズがつけこんでいるからです。ムカつくねぇ。( ̄▽ ̄;)

 

 前回の第14話から、グラナダ版では第2シリーズが始まったわけですけれども、ホームズのこういった面がかなり顕著に出ていますね。それは、上のように自信の裏返しでもあるんでしょうけども、その自信は、口をついて出る言葉の端々にイヤ〜な感じで出てるんです。

 

 語弊があると思うんで一応言っておきますが、もちろん、これも大きな意味ではホームズの魅力なんです。彼は神的ではないんだよね。かと言って断じて俗でもない。理屈を通す変わり者という視点が無いと、こういったリアリティーは出ないと思いますね。

 

 前回、ワトスンに会った時、ホームズは旧友との友情を確認したんですけどもね、今回、僕はコイツの友情とやらが全然分かんなくなってきました……。ワトスンが観察したことの分析をする時。

 

ホームズ「君はまさに明白な事実を述べる事ができる天才だよ」。

 

うわー。

常人には思いつく事も難しいイヤミですよね! 仕事中に使ってみたい!!

 また、自分は颯爽とチャリンコにまたがりつつ、ワトスンに指示を出します。

 

荒れ地を走れ、と。

 

 急展開を理解出来ないながらも夜中すぎまで駆けずり回る必死なワトスンはむしろコントと言っても過言ではないですが、痛い友達ですねー。典型的なマゾキャラですね。

 閑話休題。

 今回は探偵業の「報酬」にこだわる姿が何度も描かれているのが特徴です。他の回では、報酬に関するシーンはまずありませんね。ま、部屋の調度品や服の充実度なんかを見てると「儲かってきたな〜」ってのはわかりますが、具体的にはほとんど描かれてないっす。

 

で、今回なんすけども、

(1)捜査の進展を聞かれ、

ホームズ「閣下にはお幸せを、私には金をもたらすよう、努力しております」

(2)事件の確証を得て

ホームズ「6,000ポンドの小切手帳をお切り下さい」

(3)ラストシーン

12,000ポンドの小切手を受け取るホームズ。

 『プライオリ・スクール』は、トリックというよりもその背景が精密なんで、詳細は書けませんけども、こういう風な「動機」や「現在の状況に至る伏線が後でわかる」っての、僕は好きです。

 

 ということで、名士に依頼されていくようになってきたホームズ&ワトスン・コンビ。彼らは次回で更なる巨大事件に遭遇する事になります。

 

「失礼過ぎモード」に突入しているホームズが心配でたまりません。

【追記1】
「ハイデッガー先生」が出てきます。彼のその後に唖然とさせられます。
【追記2】
19世紀末のイギリスの田舎は未だにロウソク・松明の文化ってのが面白かった。


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