カテゴリ:映像> 目次 > 30時間の奇跡 > 「30時間ギャラリー」(沸点)> No.1
No.1 お花畑。
水彩・修正ペン,B5用紙 裏面:非在の季節 (赤入れ済) |
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解説:
40数枚にのぼる奇跡作品群の中、確実に傑作の一つに挙げられる本作品は、通称「お花畑。」と呼ばれる。 まず、この人物はいったい誰なのか。月桂樹や褐色の肌の色合いなどから一見ポリネシアン風ではあるが、スーツを完璧に着こなしている。その「謎」とも言える人物像の一方で、水彩で表現された果てしなく爽やかな笑顔と深過ぎるまなざしが見るものを惹きつけ、いつまでも飽きさせない。 画面中央、修正ペンで書かれた「お花畑。」も、大胆な上に全く意味が分からずナイスである。 製作過程において「修正ペン作品群」の発端となったこの作品は最重要作品の一つと言える。この作風の発見を契機として傑作が量産されていくことになるからである。 文責:所長 |
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カテゴリ:映像> 目次 > 30時間の奇跡 > 「30時間ギャラリー」(沸点)> No.2
No.2 熱血宣言
水彩・修正ペン,B5用紙 裏面:「TRIPREX」デザイン画 |
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解説:
傑作四天王(展示室:沸点)は全4作とも説明不可能な点で共通している。本作も同様である。 「お花畑。」に共通する面持ちの本作「熱血宣言」だが、ご覧いただきたい。このツノは? 着ぐるみのような黒い…帽子? そしてオレンジのポロシャツ。それでいて自信満々な瞳。鑑賞している方は全く燃えない熱血宣言だ。 特徴的なのは眉・鼻・頬に引かれた黄色の存在である。「無駄なやる気」と呼んでも差し支えないほどの水彩にしてはやり過ぎな重ね塗りが有り得なさを必要以上に誇示している。 修正ペン作品は、概ね描き上がってから「メッセージ」が考えられた。僕はいつも、ジッと絵を見つめ10分程メッセージを熟考していた彼を思い出す。あの「天才」は、元気だろうか。 文責:所長 |
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カテゴリ:映像> 目次 > 30時間の奇跡 > 「30時間ギャラリー」(沸点)> No .3
No.3 無罪。
水彩,B5用紙 裏面:顔の無いポートレイトデザイン |
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解説:
何度爆笑させてもらったかわからない本作、「無罪。」、まんをじしての登場である。今更のようだが、新入生歓迎用看板の下書きということを完全に見失った上での奇跡。重ねがさね有り得ない。 デッサンの破綻した3名がマンセーしている。まず中央の親父は、なぜかハゲ。そしてベルト。ベルトだけで通算20回は笑った。左の少年は親父との距離感が不明であるが、左手の指の数から親父の後ろにいると考えられる。ただ、そうするとかなり巨大な少年である。あまり触れたくないが、右の未確認生物(UMA)は何だろうか。怖くもあり、かわいくもある。ていうか、誰の何が無罪なのか。 完成直後「出来た!」と言った彼はたしか、「無罪判決での喜びを表現した」と語ってくれたように記憶している。ストーリーや整合性などを飛び越えた、まさに<喜び>という実感そのもの。それはたしかに、臆面もなく表現されている。当時の僕たちの、サークルへの印象であったと願いたい。 文責:所長 |
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カテゴリ:映像> 目次 > 30時間の奇跡 > 「30時間ギャラリー」(沸点)> No.4
No.4 狂わせて。
水彩,B5用紙 裏面:白紙 |
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解説:
「狂わせて。」と主張されていますが、あなた、すでに充分狂ってますよ で、ここまで来るとツッコむのが非常に大変なんですけれども、一応。・変な指サイン・腕が折れている・目がヤバい・やっぱりポロシャツ・どこを見てらっしゃるんですか? この作品を「待ち受け画面」にすると彼女にふられるので注意してください。ていうか、むしろふられなかったら交際を再考しましょう。 以上のNo.1〜4までが沸点と呼べる傑作。全て旧友が描きました。彼とは卒業後、全く連絡がとれなくなりました。非常に寂しいものですが、それもまた友人という関係の在り方であるのが現実です。 文責:所長 |
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カテゴリ:映像> 目次 > 30時間の奇跡 > 「30時間ギャラリー」(沸点) > No.5
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No.5 鉄拳
水彩・修正ペン,B5用紙 裏面:白紙、補強用紙貼付 |
解説(1):2005.7.23
極めて残念なのだが、この「鉄拳」が見当たらない。「逃した魚は大きい」ではなく、まぎれもない大傑作であり、見つけ次第掲載するが、どこに紛れ込んでいるのか見当がつかないため、Upは非常に困難かもしれない。したがって、現在のところ幻の名作。ホントに残念! ちなみに原画は、モヒカン頭やNo.3中央の親父、たしか、めずらしく女性もいたと思うが、それらの人々(8人ほど)がまっすぐにこちらを向き、しかも遠近法が意図的に無茶苦茶なため、わけがわからなかった。わかりやすく言えば、「無罪。」の人数が3倍ほどになった感じ。そして中央には果てしなくでっかく、「鉄拳」。 この作品の偉大さは、インスパイアされた(後に紹介する)作品の数からも容易にわかる。見当たらないのはホント残念! 解説(2):2005.8.25 これが「鉄拳」である。上記、解説(1)は記憶をもとに書いたのだが、インパクトが強かったのだろう、そう間違っていない。 この作品の最大の売りは、観れば観るほどインパクトが増大していく、言わば「ツッコミどころしか無い構成」である。「パッと見」では奥深いツッコミどころの片鱗しか味わうことができない。よろしいですか? 描かれた一人一人が、いや、この絵自体が、なぜか決定的に、完全に間違っています。常人に描けない絵であること、傑作の条件はそれだけで充分ではないでしょうか。 文責:所長 |
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カテゴリ:映像> 目次 > 30時間の奇跡 > 「30時間ギャラリー」(融点)> No.6
No.6 あなたを発掘
水彩,B5用紙 裏面:白紙 |
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解説:
30時間の奇跡作品は、僕、旧友I、そして僕の実弟2人(Y,T)、この4人の共作である。本作品は弟Yの作品。明らかにIにインスパイアされたことが見て取れる作品ではあるが、全作品を俯瞰すると「立て看板のデザイン」としてかなりいい線いっている。 「あなたを発掘」という、そこそこのキャッチコピー。ブルーカラーの率直なまなざし。引っ込み思案な部員では到底出せないストレートなメッセージが伝わってくる秀作である。コンセプトを私たちから聞いてそのまま実現させた青少年の素直さが眩しい。 もちろん、ツッコミどころはある。とりあえずメット。どうも「山田」の記名のようだが、いったい誰か。 文責:所長 |
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カテゴリ:映像> 目次 > 30時間の奇跡 > 「30時間ギャラリー」(融点)> No.7
No.7 月ひとしずく
水彩,B5用紙 裏面:1996年文化祭用ビラ |
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解説:
僕作。描かれた順序では最後の頃。当時「奥田民生井上陽水」が発表したアルバム「Shopping」の中に「月ひとしずく」という曲が入っており、その題から着想した。ちなみに作詞はなぜか小泉今日子だったと思う。素敵だねキョン×2。 それだけの発想であり、言い換えればネタ枯れに近い。実際このデザインを目にしても、あるいは曲を聴いたことがあったとしても、「その感性」が<キョンキョン>や<たみお><よーすい>を指すなどとわかる人間は皆無のはずで、したがって客観的に考えると説得力がなく、意味不明ですらある。 意味不明作品に重要なことは(沸点ギャラリーで見てきたように)必要以上の圧倒的な情熱である。もともと借りてきた着想に既に月並みな情熱も失っていた本作品は限りなく凝結点(サムい作品)に近いのだが、デザインとしてはそこそこなので融点で紹介する。ちなみに裏面のビラは広告用(1996年学園祭用)で、デザインの「やる気無さ度」がさらに衝撃的だ。 文責:所長 |
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カテゴリ:映像> 目次 > 30時間の奇跡 > 「30時間ギャラリー」(融点)> No.8
No.8 猫による部員募集中。
水彩・修正ペン,B5用紙 裏面:白紙 |
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解説:
ちょっと考えれば、なぜ猫が威嚇しているのか少しも理解出来ず、「文芸部」のアピールとしては相当おかしいことがわかるものの、沸点作品群を見慣れるているとかなり奇抜度が縮減し、驚きも少ないものとなる。美的感覚がある程度相対的なものであることを実感させられる作品である。 圧塗りの水彩はNo.1,2のほか、本作品を含めもう一作を残すのみだが、おそらく本作品は「圧塗り4作」の最後に描かれたものであろう。というのは、原画をみると筆致がかなり巧みであるとともに、色彩も光と影をはっきりと意識した描かれ方になっており、描き慣れてきた印象を受けるからだ。 実際、両目のバランスやヒゲ、深緑のアクセントなど、「部員募集中。」を無視すれば相当洗練された領域に到達している。惜しむらくはキャッチコピーで、妥当過ぎてインパクトを弱めている。絵に「たら・れば」は無く、たしかに、この絵を<沸点>にまで押し上げるコピーは容易に浮かばない。ということは、逆に言えばそこまでの絵なのだ。 文責:所長 |
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カテゴリ:映像> 目次 > 30時間の奇跡 > 「30時間ギャラリー」(融点)> No.9
No.9 招き猫(The First)
水彩(デジタル補正),B5用紙 裏面:白紙 |
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解説:
僕作。30時間かかるとは想像もしなかった連作の端緒となった、ある意味魔性の一枚。時間系列的には間違いなく第一作目。この融点ギャラリー、<シュール編>の扉とする。 そもそもどうして部室に水彩絵の具があったのか全く思い出せないが、とにかく絵筆を手に取ったのが大きな間違いだったのだろう。自分で書いた「おいで おいで」に魅せられるかのように、当時の僕と旧友Iは奇妙な世界にのめり込んで行くことになる。ちなみにPという友人は30時間ずっと小説のプロットを作っていたように思うが、記憶違いかもしれない。 この作品だけは、どういうわけか保存状態が極めて悪く、タテカンに貼り付けた当時の模造紙が裏にそのままくっついて補強する形になっている。鑑賞に堪える程度ではなくズタズタだったため、今回作品の風合いを残しながらデジタル・リマスターを試みた。 文責:所長 |
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カテゴリ:映像> 目次 > 30時間の奇跡 > 「30時間ギャラリー」(融点)> No.10
No.10 宇宙人の気合い
水彩,B5用紙 裏面:白紙 |
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解説:
僕作。「宇宙人の悲哀 文芸部の気合い」。足韻でうまいこと言ったつもりか。と、昔の自分を思いっきりグーで殴ってやりたい。 「意味が分からない」という感想を措(お)いたとしても、この絵から気合いが全く感じられないのは致命的ではないのか。しかし、おそらく当時の僕は、むしろそれを狙っているのだから手の施しようが無い。 実はこの作品は初期に描かれたもので、何と部室で描かれた。部長が昼日中からこんな絵を嬉々として描いてる<文芸>部。かなり 当時、前部長Kさんにガッカリした顔で眺められていた記憶がある。記憶違いであって欲しいが、残念ながら絶対に真実であった自信がある。 文責:所長 |
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カテゴリ:映像> 目次 > 30時間の奇跡 > 「30時間ギャラリー」(融点)> No.11
No.11 酒 de ボーリング
水彩,B5用紙 裏面:平成八年版ARTERNATIVE 奥付ページ |
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解説:
I作。「シュール」というよりもヒネリと考えた方が妥当なのだが、ピンに見立てた酒が何となく夢に出てきそうなのでシュールとしてご紹介する。 一見雑に描かれているようだが、酒の銘柄を全て書き分けるなど独自のこだわりが垣間見える。成人男子が「呑む打つ買う」のうち「呑む」の選択肢だけを毎日選択し続けると結果、こうなる。だがそもそも新入生の勧誘に「倒れるかな?」は有り得ないと思うが、どうか。どうか、じゃない。むしろどうかしている。 この作品、改めて検証してみると裏面が面白かった。文芸作品集の奥付であり、編集後記がP氏。だが本名のイニシャル署名は彼にとっては稀だろう。D.H.ってあなた、指名打者ですか? 文責:所長 |
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カテゴリ:映像> 目次 > 30時間の奇跡 > 「30時間ギャラリー」(融点)> No.12
No.12 まだ生きてる……
水彩・修正ペン,B5用紙 裏面:『超音波探偵の事件簿』 |
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解説:
I作。No.11と本作No.12は連作。「何本で倒れるかな?」を経て、「まだ生きてる…」に至るわけである。さらに勧誘に有り得ないキャッチコピーは次作No.13にも通底するものがある。 モチーフは手術等で用いられる「バイタル表示計」(←名前知りません)。背景やコピーの筆致などから、かなりの投げやり感や自虐感のうかがえる作品となっている。 当然ながら裏面にも触れておこう。『超音波探偵の事件簿』「第十二話 野望の赤き豆腐の巻」冒頭部分。第十二話とあるが連載ではない。僕らが一生逆立ちしてもかなわない大先輩の作品。どのくらいかなわないかと言うと、僕は入部当初、酔ったその先輩に自転車で轢かれたことがある。マジでお嫁に行けないだろうと思っているが、当人にばれると大変な不幸が僕に降り掛かってくると思うので、関係者はどうか知らぬフリをしていただきたい。 文責:所長 |
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カテゴリ:映像> 目次 > 30時間の奇跡 > 「30時間ギャラリー」(融点)> No.13
No.13 助けてェ…
水彩,B5用紙 裏面:平成8年版ARTERNATIVE裏表紙 |
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解説:
I作。No.11,12と続いた、新入生歓迎用立て看板としてあらゆる意味で有り得ない原案の締めに当たる作品である。 この作品は一見ラフに描かれているように見えるが、実はかなり緻密に本人の手がデッサンされている。彼は右利きだったため、描かれている手は左手というわけ。他ならぬ<沸点ギャラリー>の全作を輩出した彼の作品だということを考えれば、本作に対する並々ならぬ努力がしのばれようというものだ。 やや見にくいが原画の左上にカモメのような鳥が6羽飛んでおり、一言だけ「アホー」と書かれている。これは本人が語っていたことだが、 「もちろん、自虐」である。かなり痛い 文責:所長 |
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カテゴリ:映像> 目次 > 30時間の奇跡(概要) > 「30時間ギャラリー」 > No.14
No.14 K.O.パンダ
水彩・修正ペン・色鉛筆,B5用紙 裏面:白紙 |
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解説:
僕の弟(T?)作。幻の名作「鉄拳」(No.5)にインスパイアされ、ゲーム鉄拳を念頭に描かれた作品。(ちなみにNo.5はゲームと一切関係無いが故に傑作) シュール作品群に特徴的なことで、新入生歓迎にそぐわない「K.O.」などといったコピーが踊る。タテカンとして描けるはずがない。潜在意識が主に自虐方面に向かった結果だと思われるが、驚愕なのは作者が部員でないことである。僕とIの潜在意識を洞察し描ききったということか。 作者から推察できるように僕の自宅での作品なのだが、これが描かれたのは明け方であり、4名ともかなり煮詰まった状態になっていた。完全に「ネタ切れ」で、ある作品にインスパイアされること自体がそれを物語っている。そういうわけで、このパンダも更なるインスパイアを呼ぶのである。 文責:所長 |
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